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『司法試験と国家公務員試験、両方を考えているけど、どうつながっているの?』と迷っている法学部生や法科大学院生の方も多いですよね。
結論から言うと、今は司法試験に合格していれば、国家公務員採用試験を受けなくても各府省の選考で採用される道があります。
この記事では、法律を学んだ人が国の仕事に就く3つのルートと、目的に合わせた選び方を人事院の公開情報から紹介します。
司法試験と国家公務員試験はどうつながっている?
人事院は、法律を学んだ人が国家公務員になる主なルートとして、①国家公務員採用試験を受ける ②司法試験合格者の選考採用 ③弁護士などの経験を生かした任期付職員などでの採用、の3つを紹介しています。
司法試験と国家公務員試験は、もともと目的が違う別々の試験です。
ただ、どちらも法律の力が生きる道なので、行き来できる仕組みが用意されているんです。
| ルート | どんな人向け | 試験・選考の中身 |
|---|---|---|
| 国家公務員採用試験 | 司法試験とは別に、試験で国家公務員を目指す人 | 総合職院卒者試験の行政区分は解答科目を選べ、法律分野だけの選択も可能。大卒程度試験の法律区分は法律学の問題 |
| 司法試験合格者の選考採用 | 司法試験に合格した人 | 採用試験を受けずに、各府省で能力の実証を行って採用 |
| 任期付職員など | 弁護士などで経験を積んだ人 | 任期付職員制度(弁護士経験者)など。特定任期付職員の任期は5年以内 |

試験の全体像から知りたい方は、国家公務員試験とは?種類・日程・受験資格もあわせて読んでみてください。
法務区分は今どうなっている?
2022年度や2023年度の古い情報では、総合職試験の中に「法務区分」が出てくることがあります。
実は、法務区分は司法試験の実施時期の変更を踏まえて2023年度は休止され、2025年度より廃止されました。
その代わりにできたのが、次の章で紹介する司法試験合格者の選考採用です。
司法試験に合格した人の「選考採用」とは
司法試験合格者は、国家公務員採用試験を受験しなくても、各府省での能力の実証によって採用されることができます。人事院が各府省の募集をまとめて一括で募集し、総合職(院卒者試験)の合格者相当として任用されます。
『司法試験に受かったあと、また国家公務員試験の勉強をしないといけないの?』と思った方もいるはずです。
今の仕組みなら、その必要はありません。
2026年度(令和8年度)の秋期選考の流れ
- 受付期間内にメールで申し込む(2026年10月1日10時から11月5日17時まで)
- 第1次選考として人事院が書類選考を行う
- 12月17日9時以降に第1次選考の通過連絡が届く
- 12月17日から、各省庁が人物試験(採用面接)などの第2次選考を行う
受験資格は、1996(平成8)年4月2日以降に生まれ、受付期間の終わりの時点で司法試験に合格している人です。
申込みがメールという点は、ほかの国家公務員試験と違うので気をつけておきましょう。
日程は年度ごとに変わります。最新は人事院の司法試験合格者に係る係員級選考採用のページで確認してください。
選考採用を考える人が早めにしておきたいこと
選考採用は筆記試験がないぶん、書類と面接で「なぜ国の仕事なのか」を伝えることになります。
司法試験の勉強に集中していると、ここが後回しになりがちなんです。
- 自分の生まれ年が受験資格(1996年4月2日以降生まれ)に入っているか
- 受付期間の終わりの時点で司法試験に合格しているか
- メールでの申込方法と締切の時刻を確かめたか
- 志望する省庁の仕事の中身を調べたか
- 法律の知識をどんな政策の場面で生かしたいかを言葉にしたか
例えば面接では、こんなやり取りが考えられます。
「法律家としてではなく、なぜ行政で働きたいのですか」
「個別の事件を解決するより、ルールそのものを良くする側に関わりたいと考えたからです」
このように、司法試験で身につけた力と志望先の仕事のつながりを、自分の言葉で話せるようにしておきましょう。
第2次選考の中身や採用の時期は、各省庁によって違います。採用までの一般的な流れは国家公務員試験の採用の流れも参考になります。
試験で目指すなら総合職の法律区分や院卒者試験
司法試験とは別に国家公務員試験を受けるなら、大卒程度試験の「法律」区分か、院卒者試験の「行政」区分が中心です。行政区分は解答科目を選べるので、法律分野だけで受けることもできます。
法律の勉強をしてきた人にとって、総合職の法律区分は学んだことをそのまま使える区分なんです。
法律区分の専門試験(2026年度)
| 試験 | 出題の形 | 科目 |
|---|---|---|
| 専門試験(多肢選択式) | 49題出題・40題解答 | 必須:憲法7題・行政法12題・民法12題の計31題。選択:商法・刑法・労働法・国際法(各3題)と経済学・財政学(6題)の18題から9題 |
| 専門試験(記述式) | 6題から2題 | 憲法・行政法・民法・国際法・公共政策(公共政策は1題のみ) |
憲法・行政法・民法が中心なのは、司法試験の勉強と重なる部分ですよね。
ただ、総合職には基礎能力試験や政策論文試験、人物試験もあるので、法律科目だけでは足りません。
司法試験の勉強と重ならない部分
| 試験種目(大卒程度・2026年度) | 中身 | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 基礎能力試験(第1次) | 30題・2時間20分。知能分野24題(文章理解10・判断・数的推理14)と知識分野6題(時事・情報) | 判断推理や数的推理は法律の勉強ではまず触れないので、早めに問題の形に慣れる |
| 政策論文試験(第2次) | 1題・2時間 | 法律の答案とは違い、課題に対して政策を提案する書き方に慣れる |
| 人物試験(第2次) | 個別の面接 | 国の仕事を志望する理由を整理する |
| 英語試験(加点) | TOEFL(iBT)・TOEICなどのスコアに応じて総得点に15点か25点を加算 | 受験前にスコアを用意できるか確認する |
『法律は得意だから、総合職もなんとかなるはず』と考えるのは少し危ないところです。
法律区分でも、第1次試験では基礎能力試験と専門試験の両方を受けます。
法律科目で得点を重ねながら、基礎能力試験で大きく崩れない準備をしておくのが現実的ですね。
専門試験の科目選びは国家公務員試験の専門試験、総合職の仕事と試験の全体は国家公務員試験の総合職とはでくわしく紹介しています。
法科大学院の人も受けている
人事院は、総合職試験を受けた法科大学院出身者の数を公表しています(院卒者試験は行政区分、大卒程度試験は政治・国際、法律、経済、教養区分の合計)。
| 年度 | 申込者 | 合格者 | 採用 |
|---|---|---|---|
| 2022年度 | 148人 | 41人 | 8人 |
| 2023年度 | 125人 | 36人 | 7人 |
| 2024年度 | 121人 | 43人 | 7人(令和7年3月31日現在の内定者数) |
学部4年生で総合職に合格して、大学院の修士課程を修了してから採用されたい場合などは、採用希望時期の延期もできます。
ただし、採用候補者名簿の有効期間(総合職の教養区分以外は5年)は変わらないので、その範囲で考えておきましょう。
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目的別にどのルートを選ぶ?
「法律家として働く力を先に身につけたいか」「早く国の政策の仕事に入りたいか」で、選ぶルートは変わります。どちらが上という話ではなく、順番の違いです。
『結局、自分はどれを選べばいいの?』というのが一番の悩みですよね。
目的ごとに、公式の制度から選びやすいルートを表にしました。

| あなたの目的 | 向いているルート | 考えておきたいこと |
|---|---|---|
| 学部のうちから国の政策の仕事を目指したい | 総合職(大卒程度)の法律区分 | 基礎能力試験や政策論文試験の準備も必要 |
| 法科大学院や修士で学びながら国の仕事も考えたい | 総合職(院卒者試験)の行政区分 | 院卒者試験と大卒程度試験は第1次試験が同じ日で、両方は受けられない |
| 司法試験に集中し、合格後に国の仕事を考えたい | 司法試験合格者の選考採用 | 1996年4月2日以降生まれなどの受験資格と、年度ごとの受付期間を確認 |
| 弁護士として経験を積んでから国の仕事に関わりたい | 任期付職員制度(弁護士経験者)など | 特定任期付職員は5年以内の任期 |
| 法律だけにこだわらず社会人経験を生かしたい | 経験者採用試験 | 専門試験は課されない |
例えば、法学部の3年生でこんなふうに迷っている場合を考えてみましょう。
「司法試験も気になるけど、政策を作る仕事にも興味がある」
この場合、先に総合職を受けて名簿に載り、延期の仕組みを使いながら進路を考える方法があります。
反対に、司法試験を優先して、合格後に選考採用を受ける方法もあります。
- 学部生のうちに国の仕事への道を確保できる
- 名簿の有効期間内なら採用時期の延期も相談できる
- 合格後は採用試験を受けずに選考で進める
- 受付期間と生まれ年の条件を毎年確認する必要がある
なお、裁判官などの裁判所職員は、国家公務員法で特別職とされています。人事院の採用試験とは別の扱いなので、特別職の国家公務員とはもあわせて見ておくと分かりやすいです。
司法試験と国家公務員試験でよくある相談
知恵袋などでよく見かける相談を要約し、人事院の公式情報の範囲で答えています。
総合職と司法試験はどちらが難しい?
国家公務員試験と司法試験の難易度を比べる相談は、昔の「Ⅰ種」の時代からとても多く見られます。
ただ、2つは試験の目的も科目も違い、難しさを比べる公式の資料はありません。
この記事では、難易度の順番は出さずに、どちらの道が自分の目的に合うかで考えることをおすすめします。
どちらに受かると就職に有利?
『司法試験と国家公務員試験、受かるならどっちが有利?』という相談もあります。
国の仕事を目指すなら、今はどちらからでも入り口があります。
国家公務員試験なら最終合格後に官庁訪問などを経て採用され、司法試験合格者なら選考採用で各府省の面接に進む形です。
どちらが有利かより、「法律家として働く時期を持ちたいか」「早く行政の現場に入りたいか」で考えるほうが、後悔の少ない選び方になります。
最終合格から採用までの進み方は、試験ルートでも選考ルートでも、志望先の省庁との面接が大きな役目を持つ点は共通しています。
法学部に入ったばかりで両方を目指すのは無理?
法学部の新入生から、総合職と司法試験の両方を目指したいという相談も見かけます。
制度の上では、両方を目指す道は閉ざされていません。
まずは学年ごとに、総合職を受けるタイミングと法科大学院などへの進学を並べて、自分なりの順番を決めてみてください。
国家公務員試験に理系の問題は出る?
『法学部だけど、国家公務員試験で数学のような問題が出るの?』という相談もあります。
総合職の基礎能力試験には、判断推理や数的推理(資料解釈を含む)が出ます。
いわゆる理系の専門知識ではありませんが、数字や図を使って考える問題なので、法律の勉強とは別に練習しておくと安心です。
よくある質問
司法試験に合格すれば、国家公務員試験を受けなくても国家公務員になれますか?
司法試験合格者は、国家公務員採用試験を受けなくても、各府省での能力の実証によって採用されることができます。人事院が各府省の募集をまとめて募集し、書類選考のあと各省庁の採用面接などに進みます。
選考採用で採用されると、どんな扱いになりますか?
国家公務員採用総合職試験(院卒者試験)の合格者相当として任用されます。
総合職の法律区分では、どんな科目が出ますか?
2026年度の専門試験(多肢選択式)は49題出題・40題解答で、憲法・行政法・民法の計31題が必須です。記述式は憲法・行政法・民法・国際法・公共政策の6題から2題を選びます。
司法試験合格者の選考採用は、いつ申し込みますか?
2026年度(令和8年度)の秋期選考は、2026年10月1日10時から11月5日17時までメールで受け付けています。受付期間は年度ごとに変わるので、人事院の司法試験合格者選考採用のページで最新の日程を確認してください。
院卒者試験と大卒程度試験は両方受けられますか?
第1次試験が同じ日なので両方は受けられません。院卒者試験の受験資格がある人には、院卒者試験の受験が勧められています。
まとめ
- 法律を学んだ人の主なルートは、採用試験・司法試験合格者の選考採用・任期付職員などの3つ
- 司法試験合格者は採用試験を受けずに、各府省の選考で採用されることができる
- 選考採用の人は総合職(院卒者試験)の合格者相当として任用される
- 試験で目指すなら、大卒程度の法律区分か院卒者試験の行政区分が中心
- 難易度の比較より、自分の目的と順番でルートを選ぶ





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