国家公務員試験の経験者採用|社会人経験を活かす試験

国家公務員試験の経験者採用の受験資格と試験の中身を解説する記事のアイキャッチ

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『民間で働いてきた経験を、国の仕事で活かせないかな』と考えている方も多いですよね。ただ、新卒向けの試験とどう違うのか、自分が受けられるのかが分かりにくいところです。

結論から言うと、国家公務員試験の経験者採用は、民間企業などでの実務経験がある人を係長級以上で採用する試験です。専門試験はなく、職務経験を書く論文と面接が大きな柱になっています。

この記事を読めば、経験者採用の受験資格と試験の中身、ほかの試験との違い、合格から採用までの流れが分かります。

目次

経験者採用試験は、民間などの経験を持つ人を係長級以上で採用する試験です

先に結論

経験者採用試験は、民間企業などで実務経験のある人を、国の機関の係長級以上の官職に採用する試験です。2026年度は、各府省がまとめて行う係長級(事務)のほか、総務省・国税庁・国土交通省・気象庁の試験がありました。

人事院が行う国家公務員採用試験は、総合職・一般職・専門職・経験者採用の4つです。経験者採用は、このうち社会人の経験を前提にした試験なんです。

2026年度に行われた国家公務員試験の経験者採用は、次のとおりです。

試験(2026年度)採用される官職
係長級(事務)府省合同A政策の企画立案などを担う係長級
係長級(事務)府省合同B事務の実施などを担う係長級
総務省係長級(技術)
国税庁国税調査官級
国土交通省係長級(技術)
気象庁係長級(技術)

この記事では、各府省がまとめて行う係長級(事務)を中心に紹介します。

経験者採用試験は同時にいくつも受けられません

人事院の経験者採用試験Q&Aでは、複数の経験者採用試験を同時に受験することはできないとされています。

『事務と技術の両方を受けてみよう』と考えていた方は、どれか1つに絞ることになります。自分の経験がいちばん活きる試験を選んでおきましょう。

ここ数年で受けやすくなった点

2025年度には、一般職試験の採用に相当する府省合同試験(係長級)が経験者採用試験に新しく加わりました。

同じ2025年度から、試験地も東京都だけでなく、札幌・仙台・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・那覇を加えた9か所に広がっています。

『東京まで受けに行くのは大変そう』と感じていた地方在住の方にとっては、ぐっと受けやすくなった変化ですよね!

最終合格者は年々増えています

経験者採用試験の最終合格者数は、試験が始まった2012年度は8名でした。2023年度は152名、2024年度は203名、2025年度は574名と増えています。

社会人が国家公務員になる入り口として、存在感が大きくなっている試験だと言えそうです。社会人が受けられるほかの試験は社会人が国家公務員試験を受けるにはでまとめています。

経験者採用・一般の採用試験・社会人試験(係員級)を比べると

先に結論

経験者採用は係長級で採用され、専門試験がなく、職務経験を書く経験論文があるのが特徴です。一般職(大卒程度)や社会人試験(係員級)は係員として採用されます。

『社会人なら、どの試験を受けても同じでは?』と思う方もいるはずです。

実は、採用される立場も試験の中身もかなり違うんです。2026年度の受験案内をもとに、3つの試験を並べてみました。

比べるところ(2026年度)経験者採用(係長級(事務))一般職(大卒程度)行政区分一般職(社会人試験(係員級))
採用される立場係長級係員係員
受験の条件卒業から一定の期間が過ぎた人1996年4月2日〜2005年4月1日生まれ(学歴不問)1986年4月2日以降生まれで、高卒者試験の期間が過ぎた人など
第1次の筆記基礎能力試験・経験論文試験基礎能力試験・専門試験・一般論文試験受験案内で確認
専門試験なしあり(16科目から8科目)区分による
第2次人物試験(府省合同Aは政策課題討議試験も)人物試験人物試験
名簿の有効期間5年5年1年
第1次試験日10月4日5月31日9月6日

いちばん大きな違いは、専門試験の有無と経験論文です。経験者採用は、法律や経済の科目の代わりに、これまでの仕事の経験そのものが問われます。

経験者採用と社会人試験(係員級)は、名前は似ていても別の試験です。係長級か係員か、という採用される立場の違いをまず押さえておきましょう。

経験者採用・一般職(大卒程度)・社会人試験(係員級)を採用される立場と試験の中身で比べた図解

どんな職歴の人が採用されている?

人事院の経験者採用試験Q&Aでは、これまでの採用者の民間での経験の例が挙がっています。

  • 金融機関、投資銀行、保険会社、監査法人
  • 建設会社、旅行会社、食品会社
  • IT・通信会社、化学メーカー、鉄鋼メーカー など

幅広い業界から採用されていることが分かります。

「自分の業界は国の仕事と遠い気がする」

そう感じる方も、仕事で身につけた段取りや調整の経験は、どの府省の仕事にもつながる部分があるはずです。経験論文では、その「つながり」を自分の言葉で書けるかが大事になります。

どの試験が合いそうか、チェックしてみましょう

経験者採用が候補になる人
  • 大学卒業から2年以上たっている(府省合同A)、または学歴ごとの期間が過ぎている(府省合同B)
  • 民間企業などでの職務経験を具体的に書ける
  • 係長級として採用されたい
  • 専門科目の勉強に時間をかけにくい

逆に、1996年4月2日以降に生まれていて、新卒と同じ係員から始めたい人は、一般職(大卒程度)も候補になります。

1966年4月2日〜1986年4月1日生まれの人は、就職氷河期世代の中途採用者選考という道もあります。くわしくは就職氷河期世代の国家公務員試験で紹介しています。

受験資格は「卒業してからの年数」で決まります

先に結論

係長級(事務)の受験資格は、府省合同Aが大学等の卒業か大学院修了から2年、府省合同Bが学歴ごとに決まった年数(高校卒業から11年など)の経過です。年齢の上限ではなく、卒業からの期間で判断します。

国家公務員試験の経験者の受験資格は、新卒向けの試験と考え方が違います。

生まれた年ではなく、学校を出てから何年たったかで決まるんです。

区分(2026年度)2026年4月1日に経過している必要がある期間
府省合同A大学等(短大を除く)の卒業か大学院の修了のうち、最も古い日から2年
府省合同B(義務教育終了の場合)14年
府省合同B(高校卒業の場合)11年
府省合同B(大学等卒業の場合)7年
府省合同B(大学院修了の場合)5年

府省合同Aは大学等を卒業しているか大学院を修了していることが前提で、府省合同Bは学歴ごとに必要な年数が決まっています。

属性別に当てはめてみると

例えば、こんな当てはめ方になります。

どんな人候補になる区分
大学を卒業して3年たった人府省合同A
大学を卒業して8年たった人府省合同A・府省合同B
高校を卒業して12年たった人府省合同B
大学院を修了して5年たった人府省合同A・府省合同B

ただし、府省合同AとBは第1次試験が同じ日(2026年度は10月4日)なので、どちらか1つを選ぶ形になります。どちらが自分の経験に合うかは、政策の企画立案と事務の実施のどちらに関わりたいかで考えてみてください。

細かい学歴の扱いは受験案内で確かめておきましょう。ほかの試験の条件は受験資格|年齢と学歴の条件で比べられます。

試験のほかにある中途採用の道

経験者採用試験のほかにも、社会人が国家公務員になる道があります。

道中身
各府省の公募常勤職員・任期付職員・非常勤職員などを各府省が募集。人事院が「国家公務員の公募情報」にまとめている
専門人材の公募・選考2026年4月1日に、専門的な資格を持つ人や公務経験者などを対象にしたルールが整理された
弁護士などの経験者任期付職員制度などで採用される道がある。特定任期付職員の任期は5年以内

専門的な資格や経験がある人は、経験者採用試験とあわせて公募情報も見ておくと、選べる道が広がります。

全試験に共通の条件

日本の国籍を持たない人や、国家公務員法第38条に当てはまる人は受験できません。これは経験者採用試験も同じです。

試験の中身と2026年度の日程

先に結論

第1次試験は基礎能力試験と経験論文試験で、試験当日に職歴書2部を提出します。第2次試験は人物試験(個別面接)で、府省合同Aは政策課題討議試験もあります。

国家公務員試験の経験者採用の試験は、次の形でした(2026年度・係長級(事務))。

段階種目中身
第1次基礎能力試験30題・2時間20分(知能24題・知識6題)
第1次経験論文試験1題・1時間30分。職務経験の具体的な内容や、第1志望・第2志望の府省への志望動機などが問われる
第1次の当日職歴書2部を提出
第2次人物試験個別面接
第2次(府省合同Aのみ)政策課題討議試験おおむね1時間30分

『経験者採用は筆記より人柄を見る試験なの?』と聞かれることがあります。

実際には、第1次に基礎能力試験と経験論文試験という筆記があります。そのうえで、第2次の面接で人物を見る形です。

2026年度の日程

段階(2026年度)日程
申込受付7月27日〜8月17日
受験票のダウンロード9月18日13時から
第1次試験10月4日(8:50受付開始、9:20試験開始〜13:50)
第1次合格発表10月30日
第2次試験府省合同A 11月7日又は8日、府省合同B 11月14日又は15日
最終合格発表府省合同A 11月20日、府省合同B 12月4日

第1次試験地は、札幌・仙台・東京都・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・那覇の9か所です。第2次試験地は、府省合同Aが東京都、府省合同Bは第1次試験と同じです。

試験開始時刻に遅れると受験は認められないので、受付開始の時刻を目安に会場に着くようにしましょう。

申込者数と倍率

2025年度の経験者採用試験(7種類)は、申込者数2,360人、第1次試験受験者1,297人、最終合格者574人でした。倍率は、申込者数÷最終合格者数で4.1倍、第1次試験受験者数÷最終合格者数で2.3倍です。

2026年度の経験者採用試験(5種類)は、申込者数2,640人まで公表されています。最終合格者数はまだ出ていません。

基礎能力試験は過去の問題で形をつかみましょう

基礎能力試験は30題を2時間20分で解く形で、知能分野24題と知識分野6題に分かれています。

人事院は、経験者採用試験の試験ページで2023年度以降の試験問題を掲載しています。久しぶりに筆記試験を受ける人は、まず1回分を時間を計って解いてみると、どの分野から手をつけるべきかが見えてきます。

経験論文の準備はここから

経験論文は、自分の職務経験を相手に伝わる形で書く試験です。準備はこんな順番で進めると取りかかりやすくなります。

経験論文と職歴書の準備
  1. これまでの仕事を時期ごとに書き出し、職歴書の下書きを作る
  2. 仕事ごとに「どんな課題があり、自分が何をして、どうなったか」をメモする
  3. 第1志望・第2志望の府省を決め、それぞれの仕事を調べる
  4. 自分の経験が、志望する府省の仕事にどうつながるかを1つの文にする
  5. 1時間30分で1題を書き切る練習をする

例えば、こんな言い方を考えておくと、論文でも面接でも使い回せます。

「前の職場では〇〇の手続きを見直して、申込みの手間を減らしました。この経験を、窓口の事務の改善に活かしたいです」

職歴書の内容と論文・面接で話す内容がずれないようにしておくのもポイントです。

独学でいくか、講座を使うか

基礎能力試験は、人事院が2023年度以降の試験問題を公開しているので、独学でも準備を始められます。

ただ、経験論文と面接は、自分だけでは良し悪しが分かりにくいですよね。

場面独学で進める場合講座が役立つ場合
基礎能力試験公開されている試験問題と問題集で進める出題分野ごとの講義で効率よく進められる
経験論文書いたものを自分で見直す論文の添削を受けられる
人物試験・官庁訪問家族や知人に聞いてもらう面接練習の機会がある
スケジュール管理仕事の合間に自分で計画する講義の進み方がペースメーカーになる

講座を使う場合は、経験者採用の試験区分に対応しているかを、資料請求や説明会で確かめてから選んでみてください。

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専門科目をゼロから学ぶ、論文を添削してもらう、面接の練習をする。独学で不安な部分だけでも講座を使うと準備が進めやすくなります。まずは資料請求で、コースの内容と受講スタイルを確かめてみましょう。

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合格後は官庁訪問を経て採用、名簿は5年間有効です

先に結論

府省合同A・Bは、最終合格のあとに官庁訪問を経て採用が決まります。名簿は5年間有効で、採用の時期は最終合格の翌年4月に限られません。

経験者採用も、最終合格がそのまま採用になるわけではありません。合格したあとに志望する省庁を訪ねて面接を受け、採用が決まります。

人事院の経験者採用試験Q&Aでは、官庁訪問の時間を社会人が面接を受けやすい時間に設定するなど、各省庁が適切に対応するとされています。

合格後のポイント(係長級(事務))中身
採用までの流れ最終合格のあと、官庁訪問を経て採用
名簿の有効期間5年間
採用の時期最終合格の翌年4月に限られない
官庁訪問の時間社会人が面接を受けやすい時間に設定するなど、各省庁が対応

『今の仕事の引き継ぎがあるから、すぐには辞められない』という方もいますよね。採用の時期が翌年4月に限られないので、今の職場との調整も考えながら動けます。

官庁訪問の前にやっておきたいこと
  • 第1志望・第2志望の府省の仕事を、説明会や各府省のページで調べる
  • 職歴書と経験論文で書いた内容を見直し、面接で話せるようにする
  • 採用の時期について、今の職場との調整の見通しを立てる
  • 官庁訪問の日程を、仕事の予定と重ならないように押さえる

官庁訪問と人物試験の準備は二次試験(人物試験)と官庁訪問でまとめています。

採用されたあとの給与の目安

経験者採用で採用された人の俸給月額は、同じくらいの経験年数の国家公務員とのつり合いを考えて決まります。

経験者採用試験Q&Aでは、参考として、5年程度の経験年数の場合の俸給額を280,300円(府省合同A)としています。東京都特別区の地域手当は俸給月額の100分の20、本府省業務調整手当は行政職(一)3級で月額19,500円です。

年収や手取りは経歴や勤務地で変わるので、ここでは試算しません。気になる方は、官庁訪問や説明会で確かめてみてください。

経験者採用の最終合格から官庁訪問・採用までの流れと、名簿が5年間有効であることを示した図解

経験者採用でよくある相談に答えます

先に結論

よくある相談は「試験では何をするの?」「合格したけど採用を来年にしたい」「官庁訪問をしないと内定はもらえない?」の3つです。人事院のQ&Aで分かる範囲で答えます。

Q&Aサイトでよく見る相談を、要約して回答します。

相談1:経験者採用試験って、具体的に何をするの?

「調べると筆記ではなく人柄を見るような話も出てくる。実際は何をするの?」という相談です。

2026年度の係長級(事務)では、第1次試験で基礎能力試験と経験論文試験があり、当日に職歴書2部を提出しました。第2次試験は個別面接の人物試験で、府省合同Aは政策課題討議試験もあります。

専門試験がないので、法律や経済の科目を学ぶ必要はありません。その分、基礎能力試験と経験論文、面接の準備に時間を使えます。

例えば、準備の配分をこんなふうに考えてみると分かりやすいです。

「平日は基礎能力試験の問題を少しずつ。週末は経験論文を1本書いて、職歴書と見比べる」

筆記と論文・面接のどちらかに偏らないように、早めに時間の配分を決めておきましょう。

相談2:合格したけど、採用を来年度にしたい

「経験者採用に合格したが、事情があって今年度ではなく来年度の採用を希望したい」という相談もあります。

府省合同A・Bの名簿は5年間有効で、採用の時期は最終合格の翌年4月に限られないとされています。まずは官庁訪問や面接の場で、採用の時期について相談してみてください。

ただし、名簿の有効期間内に採用される必要があります。先に延ばしすぎないよう、期間を確かめておきましょう。

相談3:官庁訪問をしないと、内定はもらえない?

「省庁ごとに募集している場合でも、官庁訪問をしないと内定はもらえないの?」という相談も見られます。

府省合同A・Bは、最終合格のあとに官庁訪問を経て採用される仕組みです。合格しただけでは採用は決まらないので、志望する省庁の官庁訪問に参加しておきましょう。

総務省・国税庁などが行うほかの経験者採用試験の流れは、それぞれの受験案内で確かめてみてください。

相談の前に見ておきたい人事院のページ
  • 経験者採用試験(係長級(事務))の試験ページ
  • 社会人の皆さんへ(中途採用)
  • 経験者採用試験Q&A
  • 国家公務員の公募情報

よくある質問

国家公務員試験の経験者採用に、年齢の上限はありますか?

係長級(事務)の受験資格は、生まれた年ではなく、大学等の卒業や大学院の修了から何年たったかなど、学歴ごとの期間で決まっています。細かい条件は受験する年度の受験案内で確かめてください。

経験者採用試験に専門試験はありますか?

係長級(事務)には専門試験はありません。第1次試験は基礎能力試験と経験論文試験、第2次試験は人物試験で、府省合同Aは政策課題討議試験もあります。

府省合同AとBは両方受けられますか?

第1次試験が同じ日なので、両方は受けられません。府省合同Aは政策の企画立案など、府省合同Bは事務の実施などを担う係長級なので、自分の経験に合うほうを選びましょう。

合格したら、すぐに採用されますか?

最終合格のあとに官庁訪問を経て採用が決まります。名簿は5年間有効で、採用の時期は最終合格の翌年4月に限られません。

まとめ

この記事の要点
  • 経験者採用は、民間などの経験がある人を係長級以上で採用する試験
  • 受験資格は年齢ではなく、卒業してからの年数で決まる
  • 係長級(事務)は基礎能力試験・経験論文試験・人物試験で、専門試験はない
  • 最終合格のあと官庁訪問を経て採用され、名簿は5年間有効
  • 社会人試験(係員級)とは別の試験で、採用される立場が違う

試験の種類や日程は年度ごとに変わります。

最新の情報は人事院の国家公務員試験採用情報NAVIや受験案内で確かめてくださいね。試験全体の流れは国家公務員試験とはで確認できます。

国家公務員試験.com

国家公務員試験.com 編集部

国家公務員試験の種類・受験資格・日程・試験内容・採用までの流れと、勉強法や講座の選び方を、人事院の公開情報をもとに整理している情報サイトです。 公式サイト

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