理系の国家公務員試験|工学など技術系区分の選び方

理系の人が受ける国家公務員試験の技術系区分の選び方を解説する記事のアイキャッチ

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『理系だけど国家公務員って目指せるの?』『工学部で学んだことは試験で使えるの?』と気になっている方も多いですよね。

結論から言うと、国家公務員試験には理系向けの「技術系区分」があり、総合職にも一般職にも専攻に近い区分が用意されています。

この記事を読めば、自分の専攻からどの区分を受ければいいか、試験の中身と採用までの流れがひと通り分かります。

目次

理系の国家公務員試験は「技術系区分」から選びます

先に結論

理系の人は、総合職・一般職それぞれの技術系区分から、専攻に近い区分を1つ選んで受けるのが基本です。区分によって専門試験の科目が変わるので、名前だけでなく出題科目まで見て選びましょう。

国家公務員の採用試験は、人事院が行う総合職・一般職・専門職・経験者採用の試験が中心です。

このうち総合職と一般職には、法律や経済を扱う事務系の区分のほかに、理系の専門知識を問う区分があります。

人事院の「技術系分野で輝く先輩たち」というページでも、多くの理系出身者が専門知識を生かして活躍していると紹介されています。

『公務員って文系の仕事でしょ?』と思っていた方には、ちょっと意外かもしれませんね。

2026年度(令和8年度)の技術系区分の一覧

2026年度(令和8年度)の受験案内では、技術系の区分は次のとおりです。

試験理系の人が選べる主な区分
総合職(院卒者試験)人間科学、デジタル、工学、数理科学・物理・地球科学、化学・生物・薬学、農業科学・水産、農業農村工学、森林・自然環境
総合職(大卒程度試験)人間科学、デジタル、工学、数理科学・物理・地球科学、化学・生物・薬学、農業科学・水産、農業農村工学、森林・自然環境
一般職(大卒程度試験)デジタル・電気・電子、機械、土木、建築、物理、化学、農学、農業農村工学、林学

区分の名前は毎年同じとは限りません。

最新の区分は、人事院の国家公務員試験採用情報NAVIにある受験案内で確かめておきましょう。

総合職と一般職、仕事はどう違う?

人事院の説明では、総合職は政策の企画及び立案又は調査及び研究に関する事務を担う係員の試験です。

一般職は、政策の実行やフォローアップなどに関する事務を担う係員の試験です。

理系の言葉に置き換えると、「技術を使った政策づくりや研究の側」か「技術を使って現場で動かす側」か、というイメージに近いかもしれません。

それぞれの試験の全体像は総合職の試験の特徴と一般職の試験の流れで詳しく書いています。

昔の「Ⅰ種」の理工区分と今の区分

少し前の情報を調べると、「国家公務員Ⅰ種の理工Ⅰ」のような名前が出てくることがあります。

人事院のページには、平成24年度以前に採用された職員の試験名は旧試験名・区分であると注記されています。

当時の1種試験には、理工Ⅰ(一般工学系)から理工Ⅳ、農学Ⅰから農学Ⅳといった区分がありました。

今の受験では使わない名前なので、古い体験記の区分名はそのまま当てはめないでおきましょう。

『理系で国家公務員になる人って、そもそも何人くらいいるの?』という疑問もよく聞きます。

目安になるのが、人事院が公表している採用予定数です。

採用予定数で区分の規模をつかむ

技術系区分は、区分ごとに採用予定数が大きく違います。

総合職の採用予定数(2027年4月採用分)

2026年2月現在の資料では、総合職の技術系区分の採用予定数は次のとおりでした。

区分院卒者試験大卒程度試験
工学約75名約105名
化学・生物・薬学約60名約20名
農業科学・水産約40名約35名
数理科学・物理・地球科学約25名約10名
森林・自然環境約25名約15名
人間科学約25名約15名
デジタル約15名約15名
農業農村工学約5名約25名

総合職の大卒程度試験では、工学区分が約105名で、事務系の法律区分(約75名)より多い予定になっています。

院卒者試験では化学・生物・薬学が約60名と多く、研究室で学んだことを生かしたい人の受け皿になっているのが分かりますね。

一般職(大卒程度)の採用予定数

2026年度(令和8年度)の一般職の受験案内では、技術系区分の採用予定数は次の見込みでした。

区分採用予定数(2月2日現在の見込み)
土木約350名
デジタル・電気・電子約290名
農学約210名
機械約170名
物理約160名
化学約160名
林学約130名
建築約80名
農業農村工学約40名

この数字は過年度の合格者名簿からの採用も含んだ見込みで、6月上旬に改めて掲載されます。

倍率はどう読む?

2026年度(令和8年度)の一般職(大卒程度)では、技術系区分の合計で申込者数2,877人、最終合格者1,180人でした。

人事院の定義で申込者数÷最終合格者数にあたる倍率は2.4倍です。

倍率を見る時の注意

ここでの倍率は「申込者数÷最終合格者数」です。申し込んだのに当日受けなかった人も分母に入るので、実際に受けた人どうしの競争の数字とは少し違います。区分別の数字は人事院の実施状況の資料で確かめてみてください。

専攻から引ける「受けられる区分」の対応表

先に結論

自分の専攻に名前が近い区分を、総合職と一般職の両方から1つずつ探してみてください。候補が2つ見つかれば、日程が重ならない範囲で両方を受ける計画も立てられます。

『自分の学科はどの区分になるんだろう?』というのが、理系の人が最初につまずくところですよね。

人事院の技術系のページでは、先輩職員を専攻分野ごとに探せるようになっています。

その専攻分野の分け方を使って、2026年度(令和8年度)の区分名と並べたのが次の表です。

専攻分野ごとに名前が近い総合職と一般職の区分を並べた図解
専攻分野(人事院の分け方)総合職で名前が近い区分一般職(大卒程度)で名前が近い区分
情報系デジタルデジタル・電気・電子
機械系工学機械
土木系工学土木
建設系工学建築
数理系数理科学・物理・地球科学物理
物理系数理科学・物理・地球科学物理
化学系化学・生物・薬学化学
農科系農業科学・水産農学
農工系農業農村工学農業農村工学
森林系森林・自然環境林学

この表は、区分の名前から編集部が並べた目安です。

例えば総合職では、建築設計や都市設計を選ぶ人も工学区分で受けます。

一方、一般職では機械・土木・建築のように分かれているので、同じ工学部でも受ける区分が変わります。

名前より「出題科目」で決めましょう

区分を決める時に一番頼りになるのは、受験案内に載っている専門試験の出題科目です。

例えば総合職の工学区分の専門試験(多肢選択式)は、「工学に関する基礎」20題が必須で、ほかに27科目から選んで解く形になっています。

自分の得意な科目がどれだけ含まれているかを、区分ごとに数えてみると選びやすくなります。

区分を決める前に確かめたいこと
  • 専門試験の出題科目に、得意な科目が多く入っているか
  • その区分の採用予定数が、どのくらいの規模か
  • 働いてみたい府省が、その区分から採用しているか
  • 院卒者試験と大卒程度試験のどちらの受験資格があるか
  • 一般職の場合、採用予定のある機関の所在地がどこか

理系でも事務系や教養区分を受けられる?

受けられます。

受験資格を満たしていれば、理系の学生が行政区分や教養区分に申し込むこともできます。

総合職の教養区分は専門試験を課さず、総合論文試験や企画提案試験で企画立案の基礎的な能力を見る区分です。

一般職の教養区分も、法律学や化学などの専門試験は課さず、一般的な教養や速く正確に課題を解く能力の試験を行います。

ただ、専門知識を武器にしたいなら、技術系区分のほうが学んできたことをそのまま点数にしやすいんです。

理系の区分は試験の中身がどう違う?

先に結論

技術系区分も、第1次試験の基礎能力試験は事務系と同じ形です。違いが出るのは専門試験で、一般職の技術系区分は論文の代わりに専門の記述式が入ります。

『数学や物理はいいけど、文章理解や時事は苦手…』という理系の方もいるはずです。

ここは避けられない部分なので、先に試験の形をつかんでおきましょう。

総合職(大卒程度・教養区分以外)の試験

2026年度(令和8年度)の受験案内では、総合職の大卒程度試験は次の形でした。

段階種目題数・時間配点比率
第1次基礎能力試験(多肢選択式)30題・2時間20分2/15
第1次専門試験(多肢選択式)40題・3時間30分3/15
第2次専門試験(記述式)2題・3時間5/15
第2次政策論文試験1題・2時間2/15
第2次人物試験個別面接など3/15
第2次英語試験外部試験のスコアで加点15点又は25点を加算

配点を見ると、専門の記述式が5/15と一番重いことが分かりますよね。

工学区分の記述式は、選んだ科目によって1題又は2題になります。

院卒者試験では、政策論文試験の代わりに政策課題討議試験がある点が違います。

一般職(大卒程度)の技術系区分の試験

一般職の技術系区分(建築以外)は、次の4つの種目で合否が決まります。

種目題数・時間配点比率
基礎能力試験(多肢選択式)30題・1時間50分2/9
専門試験(多肢選択式)40題・3時間4/9
専門試験(記述式)1題・1時間1/9
人物試験(個別面接)人柄、対人的能力など2/9

建築区分だけは、専門試験(多肢選択式)が33題・2時間、記述式が建築設計製図で1題・2時間と形が変わります。

行政区分では一般論文試験があるところが、技術系では専門の記述式になっている、と覚えておくと分かりやすいですよ。

製図道具の持ち込みに気をつけましょう

一般職の建築区分と、総合職の工学区分で建築設計又は都市設計を選んだ人は、受験案内で決められた製図道具を使えます。直定規1本や直角三角定規などが認められている一方で、製図板やT定規、コンパス、卓上計算機は使えません。

技術系区分の試験の形と事務系との違いを示した図解

基礎能力試験は2024年度から軽くなりました

春の大卒程度試験の基礎能力試験は、2024年度から40題が30題に減りました。

知識分野は時事問題が中心になり、情報に関する問題も出るようになっています。

専門科目の勉強をしてきた理系の人にとっては、準備の負担が以前より小さくなった変更といえます。

科目の選び方は専門試験の科目の選び方でもまとめています。

合格から採用までの流れと理系ならではのポイント

先に結論

国家公務員試験は、最終合格がそのまま採用ではありません。合格後に官庁訪問などを経て、各府省に採用されて初めて職員になります。

ここは理系の人に限らず、よく誤解されるところです。

最終合格すると採用候補者名簿に載り、各府省が面接などを行って採用者を決めます。

最終合格者数は採用予定数より多いので、官庁訪問まで含めて準備しておきたいところですね。

総合職(春)の合格から採用までの流れ(2026年度の例)
  1. 3月15日に第1次試験を受ける
  2. 第2次試験(専門の記述式・政策論文・人物試験)を受ける
  3. 5月29日の最終合格発表で採用候補者名簿に載る
  4. 6月10日以降、志望する府省を官庁訪問する
  5. 内々定を経て、10月1日以降の内定、翌年4月の採用へ進む

理系の人が知っておきたい制度

人事院は、過年度の技術系区分の合格者などを対象に、通常より早い時期の官庁訪問を設けています。

総合職(技術系区分)の既合格者向けと、一般職(技術系区分・教養区分)の既合格者向けの早期官庁訪問です。

もう一つ、大学院へ進む人に関わるのが採用時期の延期です。

総合職と一般職の大卒程度は、例えば学部4年で総合職に合格し、修士課程を修了してから採用されることもできます。

ただし名簿の有効期間は変わらないので、期間内に採用される計画を立てておきましょう。

院卒者試験を受ける時の注意

院卒者試験は大学院修士課程等の修了(見込み)が受験の条件です。合格しても修士課程を修了できなかった場合は、採用されないことがあると受験案内に書かれています。

どんな府省で働ける?

人事院の技術系のページでは、デジタル庁、国土交通省、農林水産省、経済産業省、特許庁、気象庁、環境省など、多くの府省庁から先輩職員の紹介を探せます。

『どの役所で自分の専攻が生きるのか分からない』という時は、まずこのページで専攻分野から先輩を探してみてください。

人事院は「国家公務員技術系職種ガイド」も公開しています。

初任給の例

2026年(令和8年)4月1日現在・東京都特別区内勤務の行政職の例では、初任給は次のとおりです。

試験初任給の例
総合職(院卒者)306,720円
総合職(大卒程度)290,400円
一般職(大卒程度)278,400円

勤務地や手当によって金額は変わるので、最新は受験案内で確認してみてください。

理系の人の準備の進め方

先に結論

理系の人は、専門科目の土台がある分、基礎能力試験と論文・面接の準備に時間を回すのが近道です。まず区分を決め、過去問で出題の形を見てから計画を立てましょう。

『研究や実験で忙しくて、勉強の時間が取れない』という方も多いですよね。

だからこそ、最初に「何をどこまでやるか」を決めておくのが大事なんです。

準備の進め方の例
  1. 受験案内で区分と出題科目を確かめる
  2. 人事院が公開している過去の試験問題と正答番号で出題の形を見る
  3. 専門科目は得意な科目から選択の候補を決める
  4. 基礎能力試験の文章理解・判断推理・数的推理に毎日少しずつ触れる
  5. 論文と人物試験は、志望する府省の仕事を調べながら準備する

人事院は2023年度以降の試験問題や正答番号、合格点・平均点を公表しています。

例えば、研究室の先輩とこんな会話になることもありますよね。

「専門は大学の授業でやってるから大丈夫かな?」
「専門より、時間内に文章理解を解くほうが大変だったよ」

自分の苦手がどこにあるかを早めに知っておくと、限られた時間を回しやすくなります。

独学でいくか、講座を使うか

独学でも、過去問と受験案内を使って準備を進めることはできます。

一方で、次のような場面では公務員講座が役に立つことがあります。

  • 基礎能力試験の判断推理や数的推理を、解き方から教わりたい
  • 政策論文や記述式の答案を、第三者に添削してほしい
  • 人物試験や官庁訪問に向けた面接練習をしたい
  • 研究と両立できるよう、スケジュール管理を手伝ってほしい

講座によって、技術系区分の専門科目への対応は違います。

申し込む前に、自分の区分に対応しているかを資料請求や説明会で確かめておくと安心です。

比べ方は予備校・通信講座の選び方で詳しく書いています。

国家公務員試験.com

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専門科目をゼロから学ぶ、論文を添削してもらう、面接の練習をする。独学で不安な部分だけでも講座を使うと準備が進めやすくなります。まずは資料請求で、コースの内容と受講スタイルを確かめてみましょう。

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理系の国家公務員試験でよくある相談

先に結論

理系の人からの相談は「受ける人の多さ」「合格後の進路」「事務系との試験の違い」に集まります。どれも公式の資料で確かめられる部分が多いです。

ここでは、知恵袋などでよく見かける相談を要約して、公式の情報をもとに答えていきます。

相談1:理系で国家公務員試験を受ける人はどのくらいいる?

『理系に進んでから国家公務員を目指す人って、少数派なのでは?』という相談です。

結論から言うと、まとまった人数が受けています。

2026年度(令和8年度)の一般職(大卒程度)の技術系区分は、合計で申込者数2,877人でした。

総合職でも、工学区分の採用予定数は院卒者試験で約75名、大卒程度試験で約105名でした(2027年4月採用分)。

相談2:総合職の工学区分に受かったら、どんな就職先がある?

『合格したら、どこで働けるのか見当がつかない』という相談もあります。

総合職に最終合格すると採用候補者名簿に載り、官庁訪問を通じて府省に採用される流れです。

技術系の先輩紹介を見ると、国土交通省や経済産業省、特許庁など、工学の知識を生かす府省が数多くあります。

名簿の有効期間は総合職(教養区分以外)で5年なので、民間企業への就職と並行して考える人もいるはずです。

その場合も、名簿の期間内に採用される必要がある点は押さえておきましょう。

相談3:文系と理系で、教養の試験は共通なの?

『昔のⅠ種は文系と理系で試験が違ったと聞いたけど、教養試験は同じ?』という相談です。

今の総合職(大卒程度・教養区分以外)では、第1次試験の基礎能力試験は30題・2時間20分で、区分にかかわらず同じ形です。

区分で違いが出るのは専門試験(多肢選択式・記述式)のほうです。

相談から分かる準備のポイント
  • 技術系区分の受験者は決して少なくない
  • 合格後は官庁訪問で府省を選ぶ
  • 基礎能力試験は事務系と同じ形で準備できる

よくある質問

国家公務員試験の総合職の工学区分では何が出ますか?

2026年度(令和8年度)の受験案内では、専門試験(多肢選択式)は「工学に関する基礎」20題が必須で、ほかに27科目から選んで解きます。記述式は選んだ科目により1題又は2題です。詳しくは最新の受験案内で確認してみてください。

理系の学部生は院卒者試験を受けられますか?

院卒者試験は大学院修士課程等の修了(見込み)が条件なので、学部生は大卒程度試験を受けます。院卒者試験と大卒程度試験は第1次試験が同じ日なので、両方は受けられません。

一般職の技術系区分でも論文はありますか?

一般職(大卒程度)の技術系区分(建築以外)は、一般論文試験の代わりに専門試験(記述式)1題・1時間があります。建築区分は建築設計製図の記述式です。

総合職に合格してから大学院に進んでも採用されますか?

総合職と一般職の大卒程度は採用希望時期の延期ができ、学部4年で合格して修士修了後に採用されることもできます。ただし名簿の有効期間は変わりません。

まとめ

この記事の要点
  • 理系の人は、総合職・一般職の技術系区分から専攻に近い区分を選ぶ
  • 区分は名前だけでなく、専門試験の出題科目で決める
  • 基礎能力試験は事務系と同じ形で、違いは専門試験に出る
  • 採用予定数は区分ごとに大きく違うので、規模も合わせて見る
  • 最終合格の後は官庁訪問を経て採用される
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国家公務員試験.com 編集部

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